ジョアナ・ガーランド(333位)vs 三枝夏子
シングルスの注目カードは、やはりこの一戦でしょう。三枝選手は、まだ中学2年生の14歳。予選3試合を勝ち抜いて、自らの手で本戦の切符をつかみ取りました。
実は三枝選手、一週間前のワイルドカード(WC)選手権にも参戦し、その時は最終的に優勝した駒田唯衣選手に敗れています。ただ、このWC選手権の意義の一つが、若手たちに“二度目のチャンス”を与えること。WC選手権で敗れた若手が、その経験をいかに予選に生かせるかにありました。その意味で三枝選手は、まさに大会の意向を体現してくれた選手です。
そうして勝ち上がった本戦で、第2シードの実力者、ガーランド選手と対戦するというのも、また興趣が増す点。台湾人の父親とイギリス人の母親を持つ22歳のガーランド選手は、キャリアの大半をハードコートで戦ってきました。
実績では、ITF大会6度の優勝を誇るガーランド選手が、当然ながら大きく上。ただ砂入り人工芝の経験では、三枝選手が上でしょう。WC選手権、そして予選をこのコートで戦ってきた地の利を三枝選手が生かせば、面白い展開になるかもしれません。
井上明里/小関みちか vs 里菜央/津田梨央
ガーランド対三枝戦に続いてセンターコートで行なわれるのが、注目のダブルスの一戦。高校生の里/津田ペアが、経験豊富な井上/小関組に挑みます。
井上と小関ペアが得意な形は、ストローカーの小関がベースラインでゲームを作り、ダブルス巧者の井上が前で動くパターン。二人はその強みを生かし、2017年にITF大会で2度の優勝を手にしています。
対する里&津田は、今回が初のペア結成。とはいえ同じ生まれ年の二人は、今年の高校選抜決勝で対戦するなど、互いを良く知る間柄です。津田選手が、「里さんはポーチが上手なので、私がラリーを繋げられれば」と言うように、津田選手がいかに老獪なプロと渡り合えるかがカギになるでしょう。プロの二人は、フェイントなどをかけながら、若い相手を誘ってくるはず。その罠を高校生ペアが察知し回避できるか?
順当にいけば、井上/小関の優位は動きません。ただ、ノーアドバンテージ、10ポイントマッチタイブレークは、時に勢いと流れが実力を凌駕します。その展開まで高校生ペアが持ち込めれば、あるいは番狂わせもあるかもしれません。