ジョアナ・ガーランド(333位)vs清水綾乃(425位)

2023年大会のシングルス決勝戦は、第2シードのジョアナ・ガーランド選手と、第7シードの清水綾乃選手の顔合わせとなりました。2018年大会優勝者の清水選手は、準決勝で第1シードの加治遥選手を破っての決勝進出。ここまでの4試合、全てストレート勝利という盤石のプレーを見せています。

清水選手の強さの主軸は、一つには、リターン。特にバックのリターンは、一発でウイナーを決める威力もあれば、3本目のアタックにつなげる伏線となることも。

そしてストローク戦になれば、バックハンドが猛威を振るいます。それもコーナーを狙うクロスの強打に、浅く決めるアングルショット、そしてダウンザラインに逆クロスと手札が豊富。相手にしてみれば、バックの打ち合いになった時点でプレッシャーも掛かるでしょう。

対するガーランド選手も、ここまで失セットはゼロ。サーブと強打に目が行きがちですが、低く滑るスライスで相手のパワーを無効化するなど、技術や戦略性も高い選手です。砂入り人工芝での試合は先週の牧之原に続き僅か2大会目ながら、既にフットワークや戦術面でも適応している様子。特に準決勝はほぼノーミスで、本人も「ここ最近で最も良い試合だった」と自画自賛したほどでした。

勝つべくして勝ち上がってきた両選手に共通するのは、ブレークポイントなどの重要な局面で強いこと。清水選手は緊迫の場面になるほど攻撃の手を強め、他方、ガーランド選手はミスが減り手堅くなります。まさに盾と矛のような対峙なだけに、どちらに軍配が上がるかが、見どころです。

なお両者の過去の対戦は、4年前の一度のみ。大阪市開催の、賞金総額25,000ドル大会でした。興味深いのは、清水選手が「ガーランド選手との対戦は無いです。先週の牧之原で初めて見ました」と言ったのに対し、ガーランド選手は、4年前の初対戦を開催地からスコアまで、明瞭に覚えていたことです。両者のこの記憶の差は、当時の立ち位置と結果に依拠するでしょう。スコアは6-0,6-3でガーランド選手の勝利。ランキング外の18歳にとって、トップ200位の清水選手から得た金星は、「あの時の私にとって、キャリア最大の勝利」だったそうです。

それから4年経ち、ケガの苦境も残り越えてきた二人の足跡が、浜松で再び交錯。それがいかなる結果になろうとも、どちらの選手にとっても、忘れがたい一戦になるに違いありません。