清水綾乃(425位)vs荒川晴菜(455位)

 清水選手は1998年生まれの25歳で、荒川選手は一歳年少。経験的にも戦績的にも、実力伯仲の好カードになりました。

 ただそのプレースタイルは、対象的。荒川選手が、敬意を込めて「砂入り人工芝の女王」と評する清水選手は、早い仕掛けを得手とする攻撃的プレーヤー。特に、スライディングしながら放つバックハンドは、攻守一体となった大きな武器です。

 対する荒川選手は、手持ちのカードが豊富なオールラウンダー。相手に応じて戦術を変えるプレーは、カメレオンのように変幻自在です。注意して見て頂きたいのが、1ポイントの長さ。短いポイントで決まれば、清水選手が優勢。長いラリー戦になれば、バリエーションと適応力に勝る荒川選手のフィールドでしょう。

伊藤あおい(386位)vs阿部宏美(881位)

  早くからプロとして活躍する19歳の伊藤選手に対し、阿部選手は大学卒のプロ転向1年生。年齢では4歳の開きがある両者は、実は愛知県の同じテニスクラブ出身。この顔合わせは、いわば同門対決です。

 ところが二人のプレーは、好対照。端正な正統派プレーの阿部選手に対し、伊藤選手は良い意味で特異。そんな伊藤選手の特性を物語る出来事が、先日のプレーヤーズパーティで起きました。参戦選手による“握力競争”で、伊藤選手は断トツ最下位の12キロを計測! それでも伊藤選手がパワーあるショットも打てるのは、身体の使い方が上手いからに外なりません。

 既にプロの世界での試合経験が豊富な伊藤選手は、勝負所を見極める目にも磨きを掛けています。他方、阿部選手は肩のケガによる8か月の戦線離脱から、つい先月復帰したばかり。その差がどう試合に影響するかも、興味深いところです。

 そのように多くの点で対極のように見える両選手ですが、共通するのは、スルスルと前に出てネットを取る上手さ。二人のラリー中のポジション取りにも、ぜひ注目してみてください。